公費で受けられるとき

 

健康保険は、仕事以外で起きた病気やケガについて保険給付を行うのですが、病気の種類や患者の条件によっては、医療費の全額や健康保険の自己負担分を国や地方公共団体が負担するものがいくつかあります。

結核予防法では、一般患者の医療費は健康保険が国と都道府県・政令市(保健所を設置する市)に優先して負担することになっており、自己負担については、被保険者、被扶養者ともかかった医療費の一律5%で、残りの自己負担分は公費負担となっています。

ところで、他の法令がすべてこの結核予防法と同じわけではありません。それぞれのしくみで運営されていますので、詳しいことは、該当する病気について治療を受けたり入院するときに医師に相談してください。

 

■主な公費負担医療

 

法律

内容

負担区分

戦傷病者特別援護法

療養の給付…公務上の傷病

更正医療……障害者の社会復帰のために必要な医療

全額国庫負担

(自己負担なし)

被爆者援護法

認定疾病医療…原爆症

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律*1

新感染症……都道府県知事が厚生労働大臣の指導・助言を得て個別に応急対応する感染症

全額公費負担
(自己負担することがある)

結核(適正医療)…一般患者

健康保険優先

(自己負担は医療費の5%)

特定疾患治療研究事業実施要綱

いわゆる”難病”のうち、原因不明、治療法未確立かつ後遺症を残す疾患(ベーチェット病、クローン病など)

健康保険優先
生計中心者の所得に応じた段階的な自己負担限度額あり(1ヶ月、1医療機関ごと。市町村民税非課税者は自己負担なし)

児童福祉法*2

(小児慢性特定疾患)

小児(20歳未満。ただし18歳到達時までに当該医療の給付を受けている人)慢性疾患のうち、治療が長期間にわたるもの(がん、ぜんそく、膠原病など)

障害者自立支援法*3

(自立支援医療)

育成医療……18歳未満の身体障害児に対する医療

更正医療……障害者の社会復帰のために必要な医療

精神通院医療…精神障害者に対する通院医療

健康保険優先

自己負担は医療費の原則1割。

(一定所得以上の者は自立支援医療の対象外)低所得者および高額治療継続者は負担上限あり

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

措置入院……自身または他人を傷つけるおそれのある患者

健康保険優先

(自己負担することがある)

児童福祉法

療育の給付…18歳未満の結核児童

母子保健法

養育医療……入院を要する未熟児

生活保護法

医療扶助……生活困窮者の傷病

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律*1

入院治療

一類感染症…ペスト、エボラ出血熱、ラッサ熱等

二類感染症…結核、ポリオ、ジフテリア等

予防接種法

救済措置……認定された健康被害者

健康保険優先

(自己負担なし)

被爆者援護法

一般疾病医療…被爆者の傷病

特定疾患治療研究事業実施要綱

いわゆる”難病”のうち、スモン、難治性肝炎のうち劇症肝炎、重症急性膵炎、プリオン病および日常生活に著しい支障のある重症患者

児童福祉法
(小児慢性特定疾患)

小児(20歳未満。ただし18歳到達時までに当該医療の給付を受けている人)慢性疾患のうち、重症患者と血友病患者

独立行政法人医薬品医療機器総合機構法*4

医薬品・生物由来製品が適正使用されたにもかかわらず、有害な副作用により疾病となった者

石綿による健康被害の救済に関する法律
(石綿健康被害救済制度)

救済給付(医療費の支給)…石綿による健康被害で指定疾病(中皮腫、肺がん)にかかった者で、労災補償等の対象にならない者

公害健康被害の補償等に関する法律

著しい大気汚染、水質汚濁の影響で、指定疾病にかかった者

全額汚染原因者負担

(自己負担なし)

*1感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律は、結核予防法を統合する改正部分が平成194月より施行されています。

*2児童福祉法の改正に伴い、平成1741日より所得に応じた患者自己負担が導入されました。

*3障害にかかる公費負担医療制度の見直しとして、障害者自立支援法が平成184月より施行されています。

*4平成163月までは医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法。