保険外の療養を受けるとき

 

■保険外併用療養費

健康保険では、保険が適用されない保険外の療養を受けると、保険が適用される部分も含めて、医療費の全額が自己負担となります。

しかし、医療技術の進歩や患者のニーズの多様化に対応するために、保険適用外の療養を受ける場合でも、一定の条件を満たした「評価療養」、「患者申出療養」および「選定療養」であれば、保険が適用される部分は一般の保険診療と同様に扱われます。

これを保険外併用療養費といいます。

 

■評価療養と選定療養

保険適用外の療養のうち、評価療養は医学的な価値が定まっていない新しい治療法や新薬など、将来的に保険導入をするか評価される療養のことです。選定療養は特別な療養環境など患者が自ら希望して選ぶ療養で、保険導入を前提としない療養のことです。

保険外併用療養費の概要

 

 

 

 

 

 

評価療養

高度先進医療と将来的に保険適用を検討する医療

選定療養

保険適用を前提としない患者が特別に希望する医療

・一定の要件を満たした医療機関における先進医療 (高度医療を含む)

・医薬品の治験にかかる診療

・医療機器の治験にかかる診療

・薬価基準に収載される前の承認医薬品の投与

・保険適用前の承認医療機器の使用

・薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用

・薬価基準に収載されている医療機器の適応外使用

・特別の療養環境(差額ベッド)

・予約診療

・時間外診療

200床以上の病院に紹介状無しでかかる初診

200床以上の病院の再診

・制限回数を超えて受ける診療

180日間を超える入院

・前歯部に金合金などの材料を使用

・金属床総義歯

・小児う蝕治療後の継続管理

基礎的

部 分

保険外併用療養費

7割給付)

自己負担

3割給付)

 ★患者申出療養★
健康保険が適用されない治療法を患者自らが「受けたい」と申し出ることを起点に国が安全性や有効性などをすみやかに審査し(原則6週間)、承認されることにより、受けられる療養。ただし、将来保険適用を目指していることが前提。

■差額ベッド

入院したときの室料も保険の適用範囲内ですが、個室など普通より条件のよい病室は保険の適用外です。一般によく「差額ベッド」といわれるもので、差額ベッドを希望する場合は入院の室料にあたる差額分を負担すれば、あとは保険が適用されます。

なお、次の条件を満たしていれば、個室に限らず差額が徴収される対象となります。

ただし、差額を支払うのは患者が差額ベッドを希望したときに限られます。

1病室の病床数が4床以下

・病室の面積が1人あたり6.4平方メートル以上

・病床ごとにプライバシーの確保をはかるための設備を備えていること

・患者個人用の収納設備や、机、イス、照明の設置

 

■医療周辺サービス

おむつ代やテレビ代、証明書代や外国人のための通訳にかかる費用など、療養の給付と直接関係のない医療周辺サービスについては、保険外の療養を併用することに該当しません。実費を負担すれば、通常の保険給付と一緒に利用できます。

例)おむつ代、病衣貸与代、テレビ代、理髪代、クリーニング代、ゲーム機・パソコンの貸出料、患者図書館の利用料、証明書代、カルテ開示の手数料など